avec Toots 1
私はジャズのことはよく知らない。 トゥーツ・シールマンスはジャズの世界では「ハーモニカの神様」と呼ばれていると聞いた。クインシージョーンズ、ビル.エヴァンス、ビリージョエル…トゥーツを必要とすミュージシャンをあげたら切りがない。きっと、ジャズに詳しい人ならば、トゥーツがどんなに偉大なミュージシャンであるか、私よりも数千倍、詳しいはずである。 私は隠れ(?)小野リサのファンで、彼女のCDの一つ「NAMORADA」にトゥーツが参加していて、その音色の美しさに泣きそうになったくらいだった。おまけに、子供の頃から慣れ親しんで見ていた“セサミストリート”のテーマソングを書いたのも、このトゥーツだと聞いた時は、その作者と、大人になって一緒に仕事をすることになろうとは、「人生わからないものだ」とまで思った。 私はピアニストの辛島文雄氏とトゥーツのデュオアルバム“Rencontre”のアートディレクションと写真を担当するために、レコーディングから立ち会っていた。
私はトゥーツの詳しいことは何も知らないに等しい。ただ、私が会ったトゥーツの印象は、優しくて、その大きなお腹と(!)同じくらい、大きな心を持ったおじさん(本当はおじいさん?)という感じだった。この人は、生まれて一度くらい怒ったことがあるんだろうか?と思わせるくらい、暖かくて、優しくて、大きな人だと思った。それがそのまま、ハーモニカの音に出ている。時には、本当に泣きたくなるような「音」が聞こえてくる。 こんな話を聞いた。ベルギーからアメリカに渡った若いトゥーツは当時、ギタリストだった。その時のアルバム・ジャケットを見て、まだ若かったジョンレノンはトゥーツに憧れて同じギターを買ったという。ある日、そのことをジョンレノン自身から打ち明けられて、とても感激したそうである。 私はジョンレノンが好きなので、その話は、セサミストリートの話より私を驚かせ、同時に、それも全然不思議じゃないなと思い、ますますトゥーツの音に惹かれるようになった。
レコーディング中、私が驚いたのは、その美しいハーモニカの音だけではなかった。 1922年4月29日生まれのトゥーツは、今年79歳。(2001年当時) トゥーツのマネージャーDirkから、トゥーツのオフィシャル・ウェブサイトができたよと、メールが届いたので、興味のあるかたは是非ご覧になってください。(1999)
レコーディングの合間の昼食。 レコーディングの合間の事。 そんなふうに、Tootsは気さくで、暖かくて、とても優しい。 写真撮影の時には、「この服でいいかな?髪もいいかな?」と聞かれ、「とってもいいよ」と答えると、「変な格好で写ると、ワイフから叱られるんだ」とはにかむように言うTootsは本当に愛妻家なんだなあと思った。 レコーディングスタジオにて All Rights
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